2014年5月14日水曜日

トスティ50番の効用。

私の声楽の練習メニューは基本的に、ハミング、発声、歌曲の順に行う。 
しかし、先日は歌曲に取り組む前にトスティ50番を丁寧に歌った。 

すると歌曲を歌った際、声の伸びが非常にしなやかで、自然な柔らかい声を出すことが出来た。 
普段の声とは全然違う印象に正直驚いた。どこまでも遠くに伸びていくのである。 
何より響きが自然で透明感がある。乳白色から純粋無垢な透明になった感じがした。 

トスティ50番は、音程を正確に取る学習と無理の無い自然な発声を修得するために書かれた教本である。 
それ故、いかに美しく音程を密着させて自然に聴こえさせるかが最大の目的だ。 
となると大きな声を出すことではなく、フレーズの繋がりや音程の正確さに於いて神経を最大限に集中させなければならない。 
ここにトスティの意(遺)図がある。 

恐らく今までの私は、声を出す事が第一目的になり、自然な本来の自分の声が隠れてしまっていたのだろう。 

しかし前述の様に、私がいつもの自分と違う声を感じ取ったのは、トスティ50番を丁寧に歌うことで「声を出す」というより、「体を鳴らす」という感覚が掴めた為だ。大きい声でなくても、良く響いていれば「よく聴こえる」。 

これを感得したことは私にとって非常に大きなプラスとなった。 
今日も歌っているが、いつもより良く通り、響きが高い。それなのに使う力はいつもと比べて半分以下だ。 

私がクラリネットを和田先生に師事している時、「良い音を出すには体を鳴らす事だ」と言われた事がある。 
それは頭では解ったが、なかなか体現できなかった。体に力が入ってしまうのだ。かといって力を抜くと、音まで萎える。 
しかし、3ヶ月ほど掛けて力を抜く練習ばかりしているとクラリネットで見事に体現できた。スケールも曲も、低音から高音まで面白いほどよく響く。それでいて全くストレスがない。何故か運指もそれまでの倍ほどのスピードで正確に動く。それが、大学2回生の冬頃だった。 

私は声楽においても「体を鳴らす」という感覚が実感として理解できた。 
これから歌うことがまた一段と楽しくなるだろう。 

やはり、何事も継続は力なり。

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