私は大根を毎昼、夜食に必ず取り入れていますが、1日で半本ほど消費するほど食べます。なぜこれほどまでに食べるのか。それは次のような健康効果を期待してのことです。そして何より美味しいということ。
□大根の効用
消化促進、健胃、食中毒、二日酔い、食べ過ぎ、むくみ、脚気、便通、美肌etc.
まず、大根の効用として一番注目されるべきは「消化促進」効果です。
大根には様々な消化酵素が含まれています。
■大根に含まれる主な消化酵素
・ジアスターゼ(デンプン分解酵素)
・ステアーゼ(タンパク分解酵素)
・オキシダーゼ(魚の焦げ:ベンツピレンを無毒化)
・カタラーゼ(過酸化水素分解酵素)
・ジアスターゼはデンプンの消化吸収を促します。お餅に大根おろしをかけて食べる風習が昔からありますが、これは大変理にかなったものであります。私も餅を食べることがありますが、餅単体で食べるよりも、大根おろしと一緒に食べたほうが口内でバラバラになる速度が何倍も早いです。また、納豆を食べるときも同様に、納豆の蛋白質がすぐに分解されている感じが口の中で実感できます。これはステアーゼとの関連が深いでしょう。
・ステアーゼはタンパク分解酵素ですから、肉や魚、卵、チーズなどの動物性たんぱく質や納豆、豆腐などの植物性タンパク質を分解してくれます。刺身のツマの大根の千切りは必ず食べたほうがよいと思います。
・オキシダーゼは焼き魚の焦げを無毒化してくれます。ベンツピレンには発がん性があり、そのまま食べるのは危険です。焼き魚には大根おろしを必ず添えるぐらいのつもりで食べるとよいでしょう。実際、私も魚を食べるときは焼き魚にせよ、煮魚にせよ必ず大根を食べています。
■大根に含まれるその他の有効成分
・イソ硫化シアンアリル:辛味成分
・リグニン:制ガン性食物繊維
・イソチオシアネート、インドール、セレン、メチルメルカプタンetc.
イソ硫化シアンアリルは大根の辛味成分の一つです。これは配糖体シニグリンの分解により生成されるものです。
リグニンはがんを抑える作用のある食物繊維です。この成分は空気に触れれば触れるほど増加するので、おろしや千切りにして表面積を大きくすることで一層効果的になります。しかし、大根は空気に触れるとV.Cが失われるので、そことの兼ね合いは一長一短です。
■民間療法
・咳、嗄声、喉の痛み:おろし+はちみつ
・鼻血、口渇、風邪、去痰、白癬:おろし+温かい酒(またはおろしのみ)
大根は咳や風邪にも効果的です。豊富に含まれるビタミンC も相俟って抵抗力を高めてくれます。
■留意事項
・おろすとV.Cが2時間以内に20~90%減少(鉄製おろし厳禁)
・にんじんのV.C酸化酵素(アスコルビナーゼ)→酸性により失活。ex.レモン、酢etc.
・尾ほど辛味(イソチオシアネート)強し。
・葉、茎も高栄養。(βカロテン:抗酸化力)。ex.緑黄色野菜。
・鉄製のおろし器を使うと、金属イオンがV.Cの酸化を早め、効力を失わせてしまいます。ですから、おろしを食べるときはセラミックのおろし器を使うか、食べる直前にすりおろしましょう。
・大根はにんじんと同時に食べるとV.Cが破壊されてしまいます。これは人参に含まれるアスコルビナーゼという酵素がV.Cを破壊する能力を持っているからです。しかし、アスコルビナーゼは酸性によって力を失うので、レモンや酢をかけるとV.Cが破壊されずにすみます。
・大根の葉や茎を捨ていませんか?葉や茎には根にはない栄養素が豊富に含まれています。注目すべきはV.A。葉100gあたり1400IUも含まれています。V.Aといえば人参ですが、大根葉にはにんじんよりも多く含まれています(にんじんは760IU)。また、大根の葉や茎は緑黄色野菜に位置づけられます。
大根を買ってきたら上の部分を切り落とし、マグカップに水を入れてつけておけばぐんぐん成長します。キッチンでできる簡単家庭菜園です。また、葉や茎をつけたままにしておくと、大根の水分を奪ってしまいすぐに干からびた状態になってしまうので、大根を買ってきたらすぐに茎を切り落としておきましょう。
■豆知識
・大根は「清白」(すずしろ)とも言い、春の七草として知られています。
・大根は体を冷やす陰性食品です。しかし、切り干し大根やよく煮込んだ大根は体を温める陽性食品へと変化します。
以上、大根の効用です。
■参考文献
■参考文献
1.木下繁太朗『くらしに生かす漢方の本』三笠書房、2007年。
2.川島昭司『食べ物のメリット・デメリットがまるごと分かる本』三笠書房。、2007年
3.石原結實『「医者いらず」の食べ物事典」PHP文庫、2006年。
4.吉田企世子、松田早苗監修『安全においしく食べるためのあたらしい栄養学』高橋書店、2009年。
5.東城百合子『自然療法が「体」を変える』知的生きかた文庫、2011年。
何か健康によい食材を一つ取り上げると、スーパーからその食品が売り切れたり一時的なブームとなって世間を席巻しますね。しかし、食において大事なことは様々なものをバランスよく食べることだと思います。栄養は一種類では機能できません。様々な栄養素が互いに助けあって初めて体の中で正常に働きます。私たちが一人では生きてはいけないように、栄養もまた一種類では生きてはいけないのです。食において健康を考えるとき、いつもこのことを意識していたいものです。
また、私たちは自然の恵みを頂いて生きています。それはこの自然の恵みを頂いているということです。私たちは炭水化物を自ら作り出すことができませんから、植物が作った炭水化物やその他の動植物を食べることによって体を維持しているのです。宇宙の循環の仕組みがここにあります。
私達が食べ物を食べるとき、自然のめぐみに感謝する気持ちを少し意識シてみたいものです。