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2011年10月13日木曜日

#3.にんにくの効用。

ニンニク(Garlic)大蒜
(たいさん、オオヒル))-ピラミッドの頂点に立つ食物の王様-
今回はにんにくの話。
みなさん「にんにく」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?焼肉の調味料として、においが強い食材として、また「にんにく卵黄」といった商品を思い浮かべるでしょうか。
いずれにせよ「健康食品」としてのイメージなどをお持ちでしょう。

実際、にんにくはとても健康的な食材です。ではどれぐらい健康的なのでしょうか。
「アメリカ国立がん研究所」を中心として、食品の成分がどの程度がん予防に有効かどうかを科学的に調べるプロジェクト(デザイナーフーズ・プログラム)があります。そのプロジェクトでは40種類の食品が調査対象になっていますが、その第一位になっている食材がにんにくです。
では、実際にどのような効能があるのか、詳しく見て行きましょう。
まず、にんにくの素晴らしい効能の一覧をご覧下さい。

効能
1.      殺菌、抗菌、がん抑制作用ex.ガルリシン(揮発油成分)⇒胃腸炎、下痢、赤痢に特効。
2.      駆虫。
3.      抗糖尿病ex.グルコキニン
4.      発汗、利尿、血液循環促進。
5.      ニコチン、重金属、公害物質の解毒化
6.      降圧、コレステロール低下作用ex.ガルリシン。
7.      強肝作用。
8.      老眼抑制ex.多食で粘膜を痛める。
9.      免疫力向上。ex.アリシン(硫黄化合物:悪臭の元)、ガルリシン(T細胞活性化)
10.   疲労回復、脚気(脳症含む)、神経痛、便秘、精力増強、整腸:V.B1の働きによるものが大きい(にんにくのV.B1はアノイリナーゼ「V.B1分解酵素」によって破壊されにくい)。
11.   各種がん予防(皮膚がん、大腸がん、肝臓がん、肺がんetc.
12.   水虫、田虫。
13.   抗酸化作用、アンチエイジング、老化防止。
14.   悪玉コレステロール値減少、血糖値降下作用。
15.   脳細胞活性化、血液サラサラ効果:ex.揮発油成分:ガルリシン(血小板が固まるのを予防)→動脈硬化予防ex.アホエン(加熱により生じる成分)。ex.アホ(西:ajo):にんにく。
16.   結核、喘息。
17.   新陳代謝促進・滋養強壮。ex.スコルジニン(無臭)
18.   肝臓保護、高脂血症。
19.   冠動脈硬化予防。
20.   止血作用。
21.   エイズ改善。
22.   肌のトラブル全般ex.アレルギー性の肌荒れ、アトピー、ひび、あかぎれ、シミ、小じわ、ソバカス、肌のくすみ、日焼け後の炎症、火傷、切り傷、いぼ、肌のたるみ、肌荒れ、サメ肌、乾燥肌。
23.   寄生虫(回虫、蟯虫)駆除。

以上のような効果が相俟って、全食品中最もがん予防に効果的であるとされました。では詳しく解説していきます。

まず、なんといっても「がん抑制作用」の高さです。これはガルリシンという揮発性の成分が関係しています。次に「殺菌力」の高さです。これは体内に取り込まれた後でも十分に効果を発揮します。駆虫というのは、腸内の悪い虫を駆除するという意味です。

・グルコキニンというのは、食物繊維の一つです。これが糖の吸収を穏やかにし、糖尿病などの糖尿血症を予防します。

・また、発汗、利尿作用にも優れます。にんにくを食べると体が温まってきますが、これはニンニクが血液循環を高め、新陳代謝を活発にする機能を持っていることを意味します(ちなみに、医学博士の石原結實(いしはらゆうみ)先生は体温が一℃上がると、免疫力が230%上昇すると様々な著書で述べています。石原結實先生については、amazonなどでたくさんの著書が検索できます。ぜひ一度チェックしてみてください。

・次にデトックス効果です。ニコチンや重金属などの有害物質は一度体内に取り込まれると、中々体外に排出されませんが、にんにくにはこれら有害物質の排出を促す作用があります。有害物質排出では玄米の「フィチン酸」が有名ですが、これについてはブログで「玄米」も取り上げる予定ですので、今後の投稿を参照してください。

・にんにくは疲労回復に抜群の効果があります。ニンニクは野菜の中でも糖質が意外に多い食材であることと、ビタミンB群を多量に含んでいる食材であることがその原因でしょう。糖質は直接的に疲労回復に効果を示し、またビタミンBは糖質や脂質がエネルギーに変わるのを助ける働きがあるからです。にんにくがスタミナ食材であるというのはこれらの事実から来ています。
・水虫、田虫にも効果的であるのはにんにくの優れた作用の一つでしょう。すりおろしを直接塗ります。それでは刺激が強すぎるという人は、水で薄めて使うと良いと思います。

・また、にんにくは脳細胞を活性化します。これは前述の揮発油成分が血液をサラサラにし、脳内を含め全身の血流が促進するからでしょう。これにより動脈硬化予防効果が期待できます。また、アホエンという加熱によって生じる成分にも動脈硬化予防効果があるとされています。

・にんにくはエイズの改善に一役買うという説もあります(陳恵運『免疫力を高める食べ物帖』中経の文庫、2011年、pp.44-45参照)。ウガンダの96人にニンニクを使った治療をした結果、64人の症状が明らかに改善されたとあります。エイズが治癒したという記述ではありません。あくまでも参考の一つにしてください。

・にんにくは美肌効果も高い食材です。キムチを多食する韓国の女性に美肌が多いと言われますが、決してニンニクが無関係だとも言えないでしょう。ニンニクに含まれるビタミンB群は肌の状態を整える作用があるからです。肌荒れや口内炎に効くとされる「チョコラBB」という栄養ドリンクはビタミンBの効果を謳った商品です。

留意事項
・刺激が強いので食べ過ぎ注意。ex.適量は一日2,3鱗片程度。
・タンパク質と好相性。ex.にんにく:タンパク質凝固作用⇒消化吸収促進。
             タンパク質:胃腸障害予防。
・無臭化:牛乳もしくは生姜、パセリなどと同時に食す。
・肌に良いが直接塗布は刺激が強いため、人によって様子を見る。

・ニンニクは蛋白質とよく合います。魚や肉と合わせると美味であることもさることながら、消化吸収の面からしても好相性です。ニンニクには蛋白質を上手に固める作用があり、これが胃腸での吸収効率を高めます。また、蛋白質は胃腸の粘膜を守る働きがありますから、刺激の強いにんにくを食べる際に蛋白質がバリアとなってくれます。

民間療法
・風邪
 ①にんにく、生姜各々15gを千切りにし、丼一杯の水で半量になるまで煮詰める。
 ②①にはちみつを加え、就寝前に温服。
・下痢:刻んだニンニクをおかゆに炊き込む。ex.温薬(胃腸を温める食材)。
・水虫:おろしを患部に塗る(留意事項参照)。

豆知識
・ユリ科多年生草本。
・原産地:キルギスの砂漠地帯が有力。
・ピラミッド、万里の長城建設の際、奴隷の食事に使われた。
・旧約聖書に登場するほど歴史が古い。
・十世紀頃中国より渡日か。
・和名「忍辱(にんにく)」(侮辱を耐え忍ぶ):「僧侶が激臭に耐えてまでも食す価値があるほどの薬効を持つ」の意。ex.「古事記」「日本書紀」
・旬:5,6月頃。
・通称:広域スペクトル抗生物質。

・にんにくがピラミッド建設や万里の長城建設の際、奴隷の食事に使われたという説は有名でしょう。それほどのスタミナ食ということです(しかし、ちなみに筆者はピラミッドが人間の手によって建設されたという説には反対しています。宇宙人が何らかの意図を持って建設したという説を支持するからです。これに関する意見につきましては賛否両論あると思うので、ここでは議論をしないことにします)。

・にんにくのもつ抗生作用のカバー範囲の広さから、「広域スペクトル抗生物質」と異名がつくほどです。

栄養素(100gあたり)
 
にんにく
cal(kcal)
138
蛋白質(g)
8.4
脂質(g)
0.1
糖質(g)
28.7
繊維(g)
0.9
カルシウム(mg)
15
リン(mg)
200
(mg)
1
V.A (IU)
φ
V.B1(mg)
0.21
V.B2(mg)
0.11
V.C(mg)
19
V.B6(mg)
1.5

食べ合わせ(評価の観点:美味・薬効)
・おろしまたは刻み+納豆+オリーブオイルex.にんにくのアリシンが納豆のV.B1の吸収を促進:疲労回復に特効。
・牛肉、豚肉、魚肉などの動物性たんぱく質。ex.タンパク質と好相性。
・カツオのたたき+おろし:美味
・冷奴+おろし+オリーブオイル
・パスタ
・気長に加熱すると甘みが増す。
・おろしorみじんぎり+マヨネーズ+トースト(パン)
・味噌汁
・ツナ缶+醤油=美味スパイシーおつまみ。

・私は必ず昼と夜に納豆を食べますが、納豆とニンニクの組み合わせは個人的に最高だと思っています。「りんご×ヨーグルト」、もしくは「バナナ×はちみつ」、さらには「ごはん×塩昆布」、もっと言えば「パン×マーガリン」に匹敵するほどの最高の組み合わせです。つまり私にとって納豆とニンニクは切っても切り離せないものです。それはどうでも良いですが、栄養の面から見てもこの組み合わせは優れています。ニンニクに含まれるアリシンが納豆のビタミンBの吸収を促進するからです。乾燥ニンニクなら業務スーパーで500g600円ほどで入手できますし、チューブタイプのニンニクや瓶詰のおろしニンニクなども売っています。手間もいらず経済的にもそれほど負担にならないので、毎日の納豆ににんにくをプラスしてみては如何でしょうか。

・にんにくとオリーブオイルも好相性ですね。フライパンにニンニクとオリーブオイルを入れ、それから火をつけます。極弱火でゆっくり加熱するとニンニクがものすごく甘くなります。普通はオリーブ油ににんにくの香りが移ったらニンニクは取り出すのが一般的ですが、そのまま料理を進めてにんにくも一緒に食べてしまえばとても美味です。

以上、にんにくの効用でした。

参考文献
1.木下繁太朗『くらしに生かす漢方の本』三笠書房、2007年。
2.川島昭司『食べ物のメリット・デメリットがまるごと分かる本』三笠書房。、2007
3.石原結實『「医者いらず」の食べ物事典」PHP文庫、2006年。
4.吉田企世子、松田早苗監修『安全においしく食べるためのあたらしい栄養学』高橋書店、2009年。
5.青木敦子『調味料を使うのがおもしろくなる本』扶桑社文庫、2007年。
6.池田豊『調味料のおいしい使い方276』池田書店、2009年。

2011年9月25日日曜日

#2.大根の効用。

大根の話。
私は大根を毎昼、夜食に必ず取り入れていますが、1日で半本ほど消費するほど食べます。なぜこれほどまでに食べるのか。それは次のような健康効果を期待してのことです。そして何より美味しいということ。

□大根の効用

消化促進、健胃、食中毒、二日酔い、食べ過ぎ、むくみ、脚気、便通、美肌etc.

まず、大根の効用として一番注目されるべきは「消化促進」効果です。
大根には様々な消化酵素が含まれています。

■大根に含まれる主な消化酵素
・ジアスターゼ(デンプン分解酵素)
・ステアーゼ(タンパク分解酵素)
・オキシダーゼ(魚の焦げ:ベンツピレンを無毒化)
・カタラーゼ(過酸化水素分解酵素)

・ジアスターゼはデンプンの消化吸収を促します。お餅に大根おろしをかけて食べる風習が昔からありますが、これは大変理にかなったものであります。私も餅を食べることがありますが、餅単体で食べるよりも、大根おろしと一緒に食べたほうが口内でバラバラになる速度が何倍も早いです。また、納豆を食べるときも同様に、納豆の蛋白質がすぐに分解されている感じが口の中で実感できます。これはステアーゼとの関連が深いでしょう。

・ステアーゼはタンパク分解酵素ですから、肉や魚、卵、チーズなどの動物性たんぱく質や納豆、豆腐などの植物性タンパク質を分解してくれます。刺身のツマの大根の千切りは必ず食べたほうがよいと思います。

・オキシダーゼは焼き魚の焦げを無毒化してくれます。ベンツピレンには発がん性があり、そのまま食べるのは危険です。焼き魚には大根おろしを必ず添えるぐらいのつもりで食べるとよいでしょう。実際、私も魚を食べるときは焼き魚にせよ、煮魚にせよ必ず大根を食べています。

■大根に含まれるその他の有効成分
・イソ硫化シアンアリル:辛味成分
・リグニン:制ガン性食物繊維
・イソチオシアネート、インドール、セレン、メチルメルカプタンetc.

イソ硫化シアンアリルは大根の辛味成分の一つです。これは配糖体シニグリンの分解により生成されるものです。
リグニンはがんを抑える作用のある食物繊維です。この成分は空気に触れれば触れるほど増加するので、おろしや千切りにして表面積を大きくすることで一層効果的になります。しかし、大根は空気に触れるとV.Cが失われるので、そことの兼ね合いは一長一短です。

■民間療法
・咳、嗄声、喉の痛み:おろし+はちみつ
・鼻血、口渇、風邪、去痰、白癬:おろし+温かい酒(またはおろしのみ)

大根は咳や風邪にも効果的です。豊富に含まれるビタミンC も相俟って抵抗力を高めてくれます。

■留意事項
・おろすとV.Cが2時間以内に20~90%減少(鉄製おろし厳禁)
・にんじんのV.C酸化酵素(アスコルビナーゼ)→酸性により失活。ex.レモン、酢etc.
・尾ほど辛味(イソチオシアネート)強し。
・葉、茎も高栄養。(βカロテン:抗酸化力)。ex.緑黄色野菜。

・鉄製のおろし器を使うと、金属イオンがV.Cの酸化を早め、効力を失わせてしまいます。ですから、おろしを食べるときはセラミックのおろし器を使うか、食べる直前にすりおろしましょう。

・大根はにんじんと同時に食べるとV.Cが破壊されてしまいます。これは人参に含まれるアスコルビナーゼという酵素がV.Cを破壊する能力を持っているからです。しかし、アスコルビナーゼは酸性によって力を失うので、レモンや酢をかけるとV.Cが破壊されずにすみます。

・大根の葉や茎を捨ていませんか?葉や茎には根にはない栄養素が豊富に含まれています。注目すべきはV.A。葉100gあたり1400IUも含まれています。V.Aといえば人参ですが、大根葉にはにんじんよりも多く含まれています(にんじんは760IU)。また、大根の葉や茎は緑黄色野菜に位置づけられます。
大根を買ってきたら上の部分を切り落とし、マグカップに水を入れてつけておけばぐんぐん成長します。キッチンでできる簡単家庭菜園です。また、葉や茎をつけたままにしておくと、大根の水分を奪ってしまいすぐに干からびた状態になってしまうので、大根を買ってきたらすぐに茎を切り落としておきましょう。

■豆知識
・大根は「清白」(すずしろ)とも言い、春の七草として知られています。
・大根は体を冷やす陰性食品です。しかし、切り干し大根やよく煮込んだ大根は体を温める陽性食品へと変化します。

以上、大根の効用です。

■参考文献
1.木下繁太朗『くらしに生かす漢方の本』三笠書房、2007年。
2.川島昭司『食べ物のメリット・デメリットがまるごと分かる本』三笠書房。、2007
3.石原結實『「医者いらず」の食べ物事典」PHP文庫、2006年。
4.吉田企世子、松田早苗監修『安全においしく食べるためのあたらしい栄養学』高橋書店、2009年。
5.東城百合子『自然療法が「体」を変える』知的生きかた文庫、2011年。

何か健康によい食材を一つ取り上げると、スーパーからその食品が売り切れたり一時的なブームとなって世間を席巻しますね。しかし、食において大事なことは様々なものをバランスよく食べることだと思います。栄養は一種類では機能できません。様々な栄養素が互いに助けあって初めて体の中で正常に働きます。私たちが一人では生きてはいけないように、栄養もまた一種類では生きてはいけないのです。食において健康を考えるとき、いつもこのことを意識していたいものです。

また、私たちは自然の恵みを頂いて生きています。それはこの自然の恵みを頂いているということです。私たちは炭水化物を自ら作り出すことができませんから、植物が作った炭水化物やその他の動植物を食べることによって体を維持しているのです。宇宙の循環の仕組みがここにあります。
私達が食べ物を食べるとき、自然のめぐみに感謝する気持ちを少し意識シてみたいものです。